好きな人の笑顔3



『タカヒロくん、ありがとう』

「えー?何が?」

『嫌な役買って出てくれて』

「違う違う!ユヅキのそういう姿、俺が他の奴に見せたくなかっただけ。俺の独占欲」


ポンッて背中に手を回して、私を椅子に座らせてくれちゃうタカヒロくん。

自分が!って、私に気を使わせないような言い方してくれて…

本当そういうところ、優しいんだよな。

自然にというか、無意識でそういうことができちゃう人って、なかなかいないと思うのに。

それが私の恋人だなんて、嬉しすぎるなぁ。


『ふふふ、タカヒロくんにしか見せられないね、じゃあ』

「え?他の男に見せる気あったの?」

『ないよ!私の身も心もタカヒロくんのものだから!』

「…いいね、それ!ずっとユヅキを独り占めしてたい」

『ずっと?』

「うん、ずっと…」

『じゃあ約束ね』

「え?」


後ろに隠し持っていたさっきこっそり買ったプレゼントをスッとカレの前に出した。

キョトンとした顔で目をパチクリさせているタカヒロくん。

受けとるタカヒロくんは「いいの?」そう聞いて。

私は小さく頷いた。

箱を開けたタカヒロくんは「ユヅキ…」そう言って…


『メリークリスマス、タカヒロくん。大好きだよ』

「ユヅキ…」

『ずっと一緒に刻んでいこう!…って意味も込めて…』


へへへ…笑うと、カタンと椅子から立ち上がってフワッと横から私を抱きしめた。


「ありがとう、すげぇ嬉しい。俺ユヅキから貰うなんてこと考えてなかった」

『うんそうだと思った。でもね…』


私を抱きしめるというよりは、私に抱きついているようなタカヒロくん。

分かってしまう、カレが感動しているのが。

きっとね、泣いちゃいそうだってことも。


でも…―――






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