独占欲3




『タカヒロくんごめん。私ちょっとお手洗い行ってくるから、一服してて?』


喫煙所を指差してそう言うと「うん、気をつけて」そう言って、私が買った荷物を持ってくれた。

軽く手を振って私は下の階のブランドショップに入ってそれを手にする。

結局クリスマスプレゼントは曖昧で、やっぱり私もタカヒロくんに何かを贈りたいと思っていて。


『すみません、これプレゼント用でお願いします』


好きな人にプレゼントを贈るのが、こんなにも素敵で嬉しいことだなんて、知らなかったなぁ。

ブランドにこだわる必要はなかったけれどタカヒロくん、きっとこれ欲しいって思ったよね。

それに、最初に贈るならこれがいいよねぇ…。


色々思いながら会計を待つ私に、店員さんも笑顔を飛ばしてくる。

ふと鏡に映った自分の顔を見て、思わず恥ずかしくなってしまう。

…私ってばこんなに頬緩むんだってくらい。

タカヒロくんのことを想うだけで、こんなにも幸せそうな顔になるなんて…―――


「素敵なクリスマスを…」


店員さんにそう言われ『はい』ってその袋を持ってお店を後にした。

夕方になってそのままイルミネーションを見に行った。

当たり前に周りはカップルばかり。

みんながみんな、隣にいる相手に夢中で、誰も私たちを気にする人がいなくて、何だか嬉しい。

ルックス100%のタカヒロくんが注目されないことに喜びを感じる私は、やっぱり独占欲が強いのかもしれない。


『今は独り占めだね、タカヒロくんのこと』

「ええ? なに?」

『うん、だってみんな自分の相手しか見えてないって感じ。だから今はタカヒロくんは私だけのもの…ってちょっと思ったの』

「そんなこと思わなくても、俺はいつでもユヅキだけのものなんだけどなぁ! でも今の発言すげぇ可愛かった。だからキスしよ…」

『ん…』


なんてことない理由をつけて、私とタカヒロくんはイルミネーションを回りながら、何回も小さなキスをして過ごした。






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