独占欲2
「俺も、ユヅキを愛してる…」
チュって髪の上から小さなキスもくれた。
だから私はタカヒロくんの頬に手を添えて…
『タカヒロならそう言ってくれるって思ってた』
「…っ…」
言葉にならないって感じの何ともいえないタメ息のような吐息を漏らすタカヒロくんに、私はそっと口づけた。
一瞬だけのキスだったけれど、私の想いは十分にタカヒロくんに伝わったみたいで、シュー…って風船が縮んでいくみたいにフラフラになるタカヒロくんが可愛くて仕方ない。
鼻の横を手で擦るタカヒロくんは、完全に照れた顔。
トロンとさせた目を私に向けて「もう、ユヅキには敵わない」そんな呟き。
対等だからこそそう言える訳で。
タカヒロくんが今までお付き合いしてきた女性に、こんな顔を見せていなければ嬉しいな〜と思わずにはいられない。
初めてが全部タカヒロくんだったら幸せだったのか?と問うと、それはまた別の話になってしまうもの。
今まで積み重ねてきたものがあってのタカヒロくんとの出逢いな訳で、やっぱりこれを運命と呼ぶ以外にはないんじゃないだろうか。
『へへ、あ、ねぇ、あのお店見たい! 入っていい?』
せっかくクリスマスにこうして街に出てきたのだから、ショッピングをしないなんて勿体ない!って、私とタカヒロくんは仲良く手を繋ぎながら、大型デパートへと入って行った。
タカヒロくんの家が基本シンプルなせいか、タカヒロくんが手にするものもやっぱりシンプルで、黒か白のものが多かった。
逆に私はパステルカラーが好きで、ピンクとかブルーとか淡い色のものをよく掴んでいて…
「これ、ユヅキ好きそう」
そう言うタカヒロくんの言葉が物凄く嬉しかった。
タカヒロくんも私っぽいって思ってくれるくらいに、私の好みを把握しているってことで、過ごした月日は短くても、こんなにもお互いのことを知れるんだなって改めて実感してしまう。
仕事の忙しいタカヒロくんも私も、休日といってもお互いの家で二人でベッドの上で一日まったり過ごすことも多かったから、こういう買い物は新鮮で、タカヒロくんが普段どんなものを見ているのか、目をざらのようにして私はその視線を辿っていた。
だから…―――
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