赤い糸4




ベッドに寝転がるタカヒロくんの元に、煙草を持って近寄った。


『食後に一服したいでしょ?』

「え」

『ここ禁煙部屋じゃないし、私に遠慮しなくていいよ』

「はは」


気まずそうに苦笑いを零すタカヒロくんは、素直に私の手から煙草を受け取った。


『はい、火』

「ありがとう」

『どういたしまして』


カチっとライターで火をあげる私を見て、タカヒロくんがクスっと笑う。


『なぁに?』

「いや…幸せだなぁ〜って。ユヅキが俺を選んでくれてほんとによかった」


そう言われて胸が熱くなった。

それは私が思っていたこと。

タカヒロくんが私を選んでくれてよかった…と。

あの日、あの合コンに行かなければタカヒロくんに出逢うこともなかった。

これはもう、運命と呼んでも許されるんじゃないかと。

けれど、あの数時間で私にまた逢いたいと思ってくれなければ、どうにもならないわけで。

何もかもが一本の赤い糸で繋がっているんじゃないかな?って、そんな乙女なことすら思えてしまう。


「ユヅキ、おいで」

『えっと』

「抱きしめたいから、ユヅキを」

『うん』


ベッドに腰掛けると煙草を灰皿に置いて、私をギュウっと抱きしめるタカヒロくん。

服の上からだとあまり分からないけれど、ジムに通っていたのか?筋肉のついたタカヒロくんの腕と身体に抱きしめられてる私は、心臓が痛いくらい高鳴っている。


「ほんとに…愛してる…――」


掠れ気味のタカヒロくんの声が優しく耳元で響いて、私たちはキスをするでも、ナニをするでもなく、ただずっと抱き合っていた。






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