赤い糸2





『そんなんじゃないよ、もう…』

「えー?ほんとに?」

『本当です、コラ!』


私のお皿に乗っていたウインナーを指で摘むと、その周りを舌で舐めてからパクっと口に入れた。

…もう、もう、もうっ!!

超、恥ずかしくて俯く私に、「ユヅキ〜」ってタカヒロくんの甘えた声が届く。


「ごめんって…」


私の頭をポンポンってするタカヒロくんは、牛乳をガバガバ飲んでいて…


『許さないんだから、タカヒロっ!』


そう言ったら、目の前のタカヒロくんの顔が、見る見るカァー…っと赤くなっていった。

鼻の横を指で擦って、恥ずかしそうに「うわぁ〜」って声を漏らすタカヒロくんは、身体がユラユラして落ち着かない様子。


「それ反則だってユヅキ…」


うな垂れるみたいにテーブルについた肘に顔を伏せるタカヒロくんに、私は嬉しくなった。

呼び捨てはいざって時の為にとっておこう!って思った。


『ふふ、可愛い、タカヒロ〜』


さっきのタカヒロくんみたいに今度は私がポンポンってタカヒロくんの頭を撫でると、指の隙間から真っ赤な顔がチラっとこっちを向く。


「…俺、虐められてる?」

『まさか!』

「…ユヅキズルイ」

『なにが?』

「…これ以上俺を好きにさせないで…」


ドキっとする。

ほんのささやかな言葉なのかもしれないけれど、それは私にとってはすごく嬉しい一言で…

でもどうせならもっと聞きたいと思ってしまうわけで。

少しだけ身を前に乗り出した私は、タカヒロくんに近付いた距離で、そっとその耳元に囁いた。


『私は毎日タカヒロくんを好きになってるよ。今この瞬間も、昨日よりももっとタカヒロくんを好きになってる』

「…はぁー…」


深くタメ息をつきながらも頬の高揚はおさまらないままで、テーブルの上、投げ出した私の手をギュウっと握った。


「俺も一緒。毎日毎日ユヅキを好きになってる。昨日のユヅキよりも、今日のユヅキのが、すげぇ好き。ずっと独り占めしてたい…」


チュっと握った手を自分の方に引き寄せて甘いキスをおとした。

ドクン…ドクン…

鳴っているのは私なのか、タカヒロくんなのか分からない。

激しく脈打つ心音に、苦しいくらいタカヒロくんへの強い想いを又、実感する。






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