絆1
キラキラの世界
まるで私達を祝福してくれているかのよう…
―――――――――――…
「おいで」
そう手を引かれて入ったお店は免税店で。
慣れた様子でブランド品を物色するタカヒロくんは、店員さんからの視線をも集めていて。
クリスマスプレゼントは、二人で一緒に選ぼうって話。
タカヒロくんが何を買いたいのか…――
「すいません、これ見せて」
軽く手を挙げて店員さんを呼ぶ姿もさまになっていて、私は隣にいながらも惚れ惚れしてしまう。
前にタカヒロくんが仕事でプレゼンをやったって言ったけれど、今更ながら私も見たかったな〜なんて思っちゃったり。
そんな一人妄想につい声を漏らして笑ってしまった私に、キョトンとした視線を向けるタカヒロくん。
その手にはシルバーリングが握られていて、私の右手を捕まえようとしている。
されるがままタカヒロくんに右手を出すと、違和感なく薬指にそのリングが嵌められた。
「どう?」って感じで私の顔を見つめるタカヒロくんが、溶けそうなくらいカッコイイ。
思わずタカヒロくんに見とれていた私が、急にタカヒロくんのドアップを浴びて、後ろにのけ反った。
「ユヅキ?大丈夫?」
『う、ん。えっ?これっ…』
今更ながら嵌められた指輪を見てビックリする私にちょっと困った顔のタカヒロくん。
「クリスマスプレゼント、指輪がよくね?」
『…ペアリング…』
タカヒロくんとペアリングだなんて、嬉しいような、照れるような感覚で。
私がそんな曖昧な態度なものだから、私を見るタカヒロくんの顔に不安が映っている。
『うん、絶対ペアリングがいい!』
そう笑ったらホッとしたタカヒロくんの笑顔が届いた。
それから私達は色んな指輪を物色する。
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