不安のわけ5
「そんなに俺の事欲しかったの?」
「ここが好きなんでしょ」
「ユヅキのここもすげぇ勃ってる」
「舌だけでイかすから」
「俺の、もっとデカくして」
一々耳元で囁くタカヒロくんに、完全に夢中になったんだ。
時間をかけてゆっくりというよりか、私達はお互いの感情のままにただ、求め合ったんだ。
それでも私の中はいつも以上に濡れていたし、
タカヒロくんも、しっかりと私を突き上げてくる。
一度絶頂を向かえた私達は、乱れた呼吸を整えつつソファーの上でまどろんでいた。
「すっげ気持ち―――ユヅキん中」
キスすれすれで会話をするタカヒロくん。
『それは、よかった』
「ユヅキは?俺の気持ちよかった?」
『…ん。ってタカヒロくん分かってるくせに』
「分かってるけど一々ユヅキの口から聞きたいんだよ。不安なのは俺も一緒だよ?」
サラリと言われた言葉だったけれど、タカヒロくんの私に対する気持ちも、私が抱えているタカヒロくんへの不安も似たようなものなんだって。
私がタカヒロくんを好き過ぎて不安になってしまう気持ちそのまんま、タカヒロくんも同じなんだって。
私が不安だとタカヒロくんだって不安なんだって。
それが今はとても嬉しく思えて、私はキュッてタカヒロくんに抱き着いた。
『あのね、本当に…大好きよ』
「……ユヅキってズルイ」
気まずそうに目を逸らすタカヒロくん。
その瞳は、ちょっとだけ潤んでいるようにも見えなくもない。
ふぅ〜…って小さな溜息をつくタカヒロくんは、そっと私の髪を手で撫でた。
『ズルイの?』
「ズルイよ、だって…俺の事こんなに夢中にさせて……誰にも渡さないから。絶対ぇ離さないから…」
そう言った真剣な顔のタカヒロくんが、もう一度私を抱きしめた―――
ねぇ、聖なる夜が…間もなく始まるね。
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