不安のわけ4
「ユヅキどうしたの?」
『ごめんね、今…ってゆうかもうずっと、私がタカヒロくんの事独占していたい!身も心も全部…だから部屋…』
勢いあまってそう言った側から極度の執着心。
こんな展開、前もあったよね。
学習能力ないんだな〜私。
でも、こんな気持ちだってタカヒロくんは聞きたいだろうし、受け止めてくれるって。
すぐに腕が軽くなって、見るとタカヒロくんの手が私の荷物を持ってくれて。
「身も……ね」
そう言って笑うタカヒロくんに愛しさが込み上げる。
『もう!そこだけ強調したら私が変態みたいじゃん』
「変態でもユヅキが一番好きだから安心しろって」
『否定してよー』
「俺嘘つけないもーん」
『もう、バカバカ』
「ええっ、ユヅキが自分で言ったのに?俺のせい?」
『…そうでした。私物凄く恥ずかしい事ばっかりタカヒロくんに言ってる気がする』
両手で頬を包み込んで俯く私は、絶対に耳まで真っ赤で。
でも恥ずかしいけど、結局は本心で。
今更否定する事なんかできなくて。
こんな恋愛馬鹿な自分が、嫌いじゃないかもしれない。
両手塞がったタカヒロくんの腕に自分の腕を絡めて歩く私に、チラッと視線を移したタカヒロくん。
私の耳元に顔を寄せて―――
「俺がもっと恥ずかしい事言ってあげるから気にしなくていいよ」
―――――なんてこと。
有言実行のことわりの如く…
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