不安のわけ3




泣き虫な私の拙(つたな)い言葉を、笑いもせずに真剣に聞いてくれるタカヒロくんは「うん、うん」って相槌を打ってくれて。

それだけで私は安心できて。

ただ話を聞いてくれて、抱きしめて貰うだけで、こんなにも私の心は軽くなっている。


「嬉しいよ、そんな風に思っててくれて、ほんとに嬉しい。…けどな、ユヅキの中の不安は、やっぱ俺のせいだって思った」


悲しそうな顔は、見たくないのに、そうさせているのは私で。


「俺も正直ユヅキにどう想いを伝えたらいいかとか分からなくて。ユヅキが何か悩んでるんだろなーってのは分かるんだけど、その内容までは分からないわけで。でもユヅキが俺を想って不安になってくれてるのは、やっぱり嬉しいよ」


恥ずかしそうなタカヒロくんの顔が私を見つめた。

照れ隠しみたいに、チュッて軽くキスを落とすタカヒロくんは愛しそうに私を見つめてくれて。


「この涙も、その不安も、俺を想ってのものだって、ちゃんと分かってるから。もう安心して。そんな事でユヅキを嫌いになったりしないから。…まぁ、ヤキモチは仕方ないけど、俺も好きだから妬くんだって…」


そう言って又、小さなキスをくれた。


「好きだから不安になるのって、ユヅキだけじゃないと思うの。だから何でもいい、小さい不安でも何でも、俺に隠さず話して…そしたら俺いくらでもユヅキの気持ち受け止めるし、ユヅキの不安その度に消してみせるから」

『タカヒロくん………――好き』


突然の告白にビックリ顔で目を大きく見開くタカヒロくん。

私は荷物を持ってタカヒロくんの手から鍵を奪い取った。

そんな突拍子のない私の行動に、困惑の表情を見せるタカヒロくんの腕をグイッて引き寄せたんだ。






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