本物6
目で見た物だけを信じるんじゃなくて
その中にある気持ちを感じ取ることができたなら
『本物』の愛なんじゃないかと思うんだ。
相手を思いやれてこそ自分を愛して貰えるのかもしれないね。
『初詣楽しみだね!イヴもどこ行こっか』
当たり前の返事を返す私に照れた笑いをくれるタカヒロくん。
ソファーの上、私を後ろから抱きしめるタカヒロくんの身体は熱い。
耳元に唇を寄せて「考えとく」って小さな約束を交わした。
ほてった私のうなじに唇を押し当てて甘い吐息を漏らすと、どうしようもなく私の中が熱く湧き出てくる。
『タカヒロくん…』
「うん?」
『理性崩壊させても――いい?』
思わぬ発言だったのか息を飲むタカヒロくんに、顔を後ろに向けて見つめ合う。
「ユヅキ?」
『まだタカヒロくんが欲しいの。…ダメかな?』
ブンブン首を横に振るタカヒロくんは、それでも少し困惑した様子。
だから私はクルンと向きを変えてだよね!くんの首に腕を巻き付けた。
顔を寄せて、タカヒロくんの口内に舌を侵入させる。
私を抱きしめるタカヒロくんの腕に力が込められて…
「理性崩壊」
そう笑ったタカヒロくんに抱き上げられて、隣の寝室に連れて行かれた。
ベッドにゆっくりと下ろされて、近づくタカヒロくんをギュッて抱きしめたんだ。
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