本物2




お湯と混ざり合って、キュッて鳴ると、私に視線を飛ばすタカヒロくん。


「ユヅキ…好きだよ」


そう囁いて私の中に指を挿れた。

…それは、昨日感じた痛みとは違う感覚が私の中を突き抜けた気がして、

思わずパチッと目を開けた。


「ん?」


どうした?って顔でタカヒロくんが私の顔を見てきて。

この感情どう伝えたらいいんだろう。


「あ、ごめん。やっぱ痛い?」


スイッて指を抜いたら透明の糸がタカヒロくんの指を纏っていて、一気に恥ずかしくなった。

顔が真っ赤に染まっていく感じがして、私は超苦笑い。


「俺的には嬉しいんだけど、ユヅキは恥ずかしかった?」


こんな時まで私に気遣ってくれて…

そりゃすっごく恥ずかしいけど…

それよりも『タカヒロくんが好き』って気持ちのが勝ってるんだ。


『あのね、指…痛くなかった』


私の言葉にタカヒロくんは開いた口を更に大きく開けて「ほんと?」って聞いてきた。

エッチが全てじゃないけれど、私とタカヒロくんにとってはそれも必要なことであって。


誰かと繋がりたい…とか

一つになりたい…とか


その気持ちを大事にしたいんだ。

気持ちがあっての行為だってこと、実感したいんだ。

興奮気味のタカヒロくんに私は『うん』って頷くとギュウ〜って抱きしめられた。


「ヤベェ…」

『タカヒロくぅん…』


背中に手を回した私、どうしてか?タカヒロくんに身体を離されて。

ちょっと恥ずかしそうに笑うタカヒロくんの笑顔に、私の気持ちが溢れる。

私が嬉しいと思うことに、タカヒロくんも同じ様に嬉しさを感じてくれているみたいで。

――――分かったかも。

どうして今までの人が気持ち良くなかったのか。


それは、二人が同じ気持ちじゃなかったから。

今、物凄くタカヒロくんが愛おしくて

タカヒロくんと一つになりたいって。

タカヒロくんの愛を感じたいし、タカヒロくんに愛を与えたい…って心から思う。

それがエッチって行為になるだけで。

例えるならば、『愛し合いたい』って気持ち。

私に足りなかったのはこの気持ちなんだ、って。

実感する。






- 41 -

prev // next

TOP