ピンク色3




珈琲をゴクッて飲むタカヒロくんが目に入って、私の視線に気づいたのか、「ん?」って顔を向けてた。


『一緒に入りますか?』


ブッ!


「アチッ…て、ええっ?」


珈琲を吹き出したタカヒロくんはすっごい吃驚した顔で私を凝視していて、その頬は真っ赤。


―――思ったこと。

タカヒロくんは身体の経験は慣れてるかもしれないけど…

こーゆうじゃれあいは慣れてないんだって。

それが分かった今。

タカヒロくんの言葉、行動が新鮮で心から愛おしく思える。

立ち上がろうとしたタカヒロくんに私は『ストップ』って右手の平を差し出して『ごめん冗談』って舌を出した。

私の言葉にソファーに倒れ込んだタカヒロくんは涙目でこっちを見ていて。

冗談だったけれど私はタカヒロくんとならば一緒に入っても構わないとさえ思っている。


本当の本当に今まで感じた事のないピンク色の気持ちが溢れんばかりに私の胸を叩いていた。

だからラベンダーの温泉の素をお湯に入れた私はソファーで拗ねて膝を抱えているタカヒロくんをそっと抱きしめた…――――

ピクッて私が触れると反応を見せるタカヒロくんが一々嬉しい。


『夜は長いね』


そう耳元で囁いてみたらやっぱり真っ赤になって。


「今日のユヅキ…やっぱエロイ」

『そうかも…』


ニッコリ笑うと苦笑いのタカヒロくんの顔がゆっくりと近づいた―――

チュ…って音を立てて唇をくっつけるだけのキス。


「明日どーする?どっか行く?」

『んんっ…』


頭の中で考えるのは明日の私達。

お互いの家を行き来するならそれなりに必要な物が出て来るから…

二人で買物なんていいよなぁ。

お洒落なタカヒロくんだからきっと買物センスもいいに違いない。


『買いも…んんっ』


喋ろうとする私の唇を簡単に挟んで言葉を遮るタカヒロくん。

唇が少し離れる度、至近距離で目が合って心臓がキュッと鳴る。

タカヒロくんの指が私の髪の毛を掬い上げて…

その仕草は色気満載って感じ。

啄むように唇を重ねていると自然と身体が熱くなっていく。

ピンク色のソファーはタカヒロくん家の黒いソファーよりも小さくて、でも身体を寄せ合っている私達には調度いいサイズかもしれない。




12月。

街はクリスマスに向けて色づき始めている。

心なしか行き交う人々も胸を弾ませているように見えてしまう。






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