似たもの同士5
「ユヅキを信じてなかったとかそんなんじゃないんだけど、優しさに慣れてないから戸惑う」
『うん』
「こんな過去ほんとは言いたくなかったけど…それ以上にユヅキが大事だから…絶対に無くしたくないから…」
淋しげに微笑むタカヒロくんを私は強く抱きしめたんだ。
『大丈夫だよ』って意味を込めて、強く。
弱々しく私にもたれ掛かるタカヒロくんを決して『弱い男』だとは思わない。
自分の弱さを素直に認められる人程、私は強いと思う。
恥ずかしいか、そうでないかなんて、個人のさじ加減に過ぎないけれど、それを言葉にするのはとても勇気のいることだって。
身を持ってそれを証明してくれたタカヒロくんが…―――――
―――好きでたまらない。
『タカヒロくん、そんなこと言われたら私…理性が危ない』
そう言った私の言葉に、嬉しそうにタカヒロくんが笑った。
こうやって毎日知らないタカヒロくんを知っていくってことが、こんなにも嬉しいなんてね。
「どうしよう俺…」
『えっ?』
「ユヅキのことが、好きすぎる…」
照れくさそうにボソっとそんな言葉。
女の扱いに慣れていそうに見えたタカヒロくんは、その容姿のせいで、損な恋愛ばかりをしてきたんだと。
だからこうして、私に愛されることを…きっと嬉しく思ってくれているんだって、そう思っていいよね。
そう思うと、途端にタカヒロくんが可愛く見えて…
どうしようもなく愛おしいんだ。
『私も、大好き』
タカヒロくんをギュって抱きしめる私の腕に力が入る。
寄りかかっていた顔を上げてタカヒロくんを見つめ上げると、
私の髪をサラっと指ですくって、その手にそっと口づけた。
あまりにセクシーなその動きに、私は何とも魅せられてしまうわけで。
何をしていても絵になるタカヒロくん。
タカヒロくんの真似をするよう、私はそのサラサラヘアーに指を差し込んだ。
ほんのり目を細めるタカヒロくんは心地良さげに口端を上げて…―――
「我慢できねぇ」
甘く艶っぽい言葉に私は安心して目を閉じたんだ。
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