似たもの同士2




『ありがとう、じゃあ今夜は私の家で』

「…今のエロい」

『もう!』


くすくす…

私達は近所のスーパーで買い物をして、私の住むマンションへ行ったんだ。


「すげぇ」


洋風な外観の私のマンションは、白を貴重とした建物で、それはちょっとドラマや映画に出て来そうな所である。


『気に入った?』

「ん」


部屋に入った私達は荷物を置いて微笑み合った。

ゆっくりと近づくタカヒロくん。

優しい腕に捕らえられて私の背中に回った腕。


「ユヅキの匂いがめっちゃする」

『部屋?』

「そう」

『タカヒロくんの家もそうだったよ?』

「臭かった?」

『まさか!』

「よかった」


リビングの真ん中で私を抱きしめていた腕が緩まって顔を覗き込まれる。


―――キス…―――


目を閉じたものの、数秒たってもタカヒロくんの温もりが落ちてこなくてうっすら目を開けたらしっかりと目が合った。

途端に執着心が襲ってきて、タカヒロくんを少し睨み上げた。


『今期待しちゃったんだけど』

「ごめ!ユヅキのキス顔めっちゃ可愛い…と思って見とれちゃってた」


照れ臭そうに笑うから、私の中での恥ずかしさよりもタカヒロくんを愛おしく想う気持ちが断然勝ってしまう。

結局私は、タカヒロくんの言葉一つ、行動一つに、一々一喜一憂してしまうんだ。


『可愛くなんかないよ』

「俺には可愛くしか見えないもんっ」


子供みたいに語尾をあげてそう言うタカヒロくん。

私の前髪をクルクルともて遊んでいて。

スッと髪を分けて出てきた額にチュッと唇を押し付けた。


『タカヒロくんのが、かっこいいよ』


負けずと言う私に、どうしてか苦笑いを零すタカヒロくん。

更にはスッと私から離れて左手でネクタイを緩めた。

慣れたその手つきに私は当たり前にドキッとして、

離れた距離感がもどかしくて、自分から一歩タカヒロくんに歩み寄った。

そのまま無言のタカヒロくんの腰に腕を巻き付けて、首筋に顔を埋めると、ゴクッてタカヒロくんが生唾飲み込む音が届いた。

昨日、映画でキスシーンを見た時と同じ空気が流れて、私は少し緊張する。

ゆっくりと私の背中に回されたタカヒロくんの腕に力がこもって…「はぁー…」小さな溜息が続いた。


「ユヅキ、俺…我慢できなくなりそうなんだけど…」


耳元に入る心地良い言葉に私は顔を上げた。






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