俺の彼女3




「どーでもいいから早く飯行こうぜ。タカヒロの時間に合わせてんだから」


解放された左手でお腹の辺りを触るアキラは、悪気も何もなくて。


『あ、それで私のこと誘ってくれたんだ』

「ごめん、俺が逢いたかったから」


チュッて私の髪に唇を落としてタカヒロくんは私を抱きしめている腕を解いた。

そのままさっきまでアキラが握っていた私の右手にチュッてすると「消毒完了」って笑ってその手を握った。


…なんか…物凄く恥ずかしい。

今みたいなことサラッと嫌みなくやっちゃうタカヒロくんて、やっぱりカッコイイよね。

でも、タカヒロくんの言ってくれた「俺が逢いたかったから」って言葉が、私には何よりも嬉しい。

だから私も素直になりたくなる。

私の気持ちもタカヒロくんに伝えたいと思うから。


『本当は、私もすごく逢いたかったから…今すごく嬉しい』


チラッとタカヒロくんを見上げると、すぐに私から目を逸らした。


「あー…」


落ち着かない様子で呟いた。

それから私をゆっくりと見つめて言葉を続けた。


「そーゆうのは、二人きりの時に言って欲しいな…何もできないじゃん、ここじゃ」


苦笑いとタカヒロくんの本音に、私は声を出して笑った。


恥ずかしそうなタカヒロくんがカッコイイのに今は可愛くて…

私の方が理性崩壊しちゃいそう。

自分がこんな気持ちになるなんて、思ってもみなかったんだ。


『うん、じゃあ後でまた言う』


それは今日又二人きりになった時への甘い誘いで。

そんな私にタカヒロくんは「期待してる」って耳元で囁いて、「何もできない」て言いながらももう一度、今度は頬にキスをした。


「早くしろよ〜」


アキラが呆れた顔で、レストランの入り口から手を振っていて、タカヒロくんは私の手を引くとアキラの待つ入り口まで軽快に歩いて行った。






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