俺の彼女2




【出てこいよ、買い物付き合え】


命令口調のアキラに、私はちょっと笑顔になって誘いを受けた。

どのみちこのままボーッとしているのは時間の無駄だと感じていたし。

久しぶりの買い物に私自身ウキウキしていた。




待ち合わせ場所に着くと既にアキラは来ていて、喫煙スペースで煙草を加えたまま携帯に視線を落としている。


『お待たせ』

「おう」


パチンと画面を閉じて私を下から見上げるアキラは、やっぱりどこか甘い雰囲気を醸し出していて、周りで煙草を吸っていた女性陣が私を見て小さく溜息をつくのが分かる。


『メール?』

「ん、もういい。あ〜と…」


そう言いながら立ち上がったアキラは何の迷いもなく私の手を握った。


『アキラ?』

「ん?」


私の問いかけに首を緩く傾けて視線を絡ませるけど、


…―――おかしいでしょ!



『手、必要なくない?』

「いいじゃねぇか、たまには」

『よくないし、私…』

「あ、いた、いた!」


途中で言葉を遮られて繋いだ腕を引かれて歩き出す。


『ちょっとどこ行くのっ?』


そう叫んだ私の視界に少し遠目にこっちを見ているタカヒロくんの姿。

うそ、逢えた…

確かにここ、タカヒロくんがプレゼンやるって言ってたフォーラムの側だけど、まさか本当に逢えるなんて考えてなかったから。


『どうして?』


タカヒロくんの前に辿り着いた私は、不機嫌そうに見えるタカヒロくんにそう聞いた。


「え?」


怪訝に私を見つめ返すタカヒロくんは、やっぱり不機嫌で。

プレゼンうまくいかなかったのかな?

そんなことを思ったんだ。


「つーかアキラ、手離せよ。ユヅキを連れて来いとは言ったけど手繋げなんて一言も言ってねぇーぞ」


そう言うとタカヒロくんは、私の腕を強く引いて自分の方に寄せた。


「ユヅキも、簡単に手繋がせるなって…嫌だから、俺以外の奴がユヅキに触るなんて…」


肩に腕を回されて、私の耳元で囁くようにそう言うタカヒロくん。

これってさ、やっぱり…


「ヤキモチだな」


私の気持ちを代弁するみたいに、アキラの低音が響いた。


「うるせーよ」


そう言うと私をギュッて抱きしめるタカヒロくん。

ドキドキして顔が熱くて、

嬉しさが込み上げたんだ。






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