幸せな朝の一時5
「うーわ美味そう」
シャワーを浴びてスーツに着替えたタカヒロくんがダイニングに来るまでに、ワタワタ準備していた私に嬉しい声をくれて。
『すっごい簡単だけど。味…薄いかも?』
朝はパン派って言うタカヒロくんは、「時間ないから仕方なくってね」って言っていて、本当は和食がいんじゃないか?って勝手に思ってお味噌汁と焼き魚とお漬物と卵焼きを出してみた。
一口パクつくタカヒロくんは、パチって私にウィンクして
「さっきのユヅキと同じくらい美味いよ」
そんな軽いジョークを飛ばす。
『もうっ!』
「今夜も同じくらい美味いの、頼むね」
『知らない!』
なんて言ったけど、内心今夜こそ…って思いがないこともなくて。
食べ終わった私は食器を洗おうとしたらタカヒロくんが運んでくれて。
「ユヅキはメイクしなよ! 俺洗っとくから」
『いいの?』
「俺はそのままでも十分可愛いと思うんだけどね」
そう笑って加え煙草のまま食器を洗ってくれた。
初めてのお泊りは、単純にタカヒロくんを好きになる要素がそこら中に溢れていて、
私はまんまとその甘い誘惑にハマッた。
身体の関係が無くても…
全然ないわけじゃなくて、むしろそれを望んだけれど。
そうじゃなくて、私が言いたいのは…
心で繋がれた気がして、すごく嬉しかったんだ。
片付けやら、準備やらの終わった私達は、二人でタカヒロくんの家を出て駅に向かった。
「終わったら電話するな」
そう言って駅で電車に乗る寸前、私にキスをしたタカヒロくんは、笑顔で手を振ってプレゼン会場へと向かって行ったんだった。
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