最初で最後4




『ありがとう』


声に出したら泣きそうで。

慌てて笑ってごまかしたら私をジッと見ている。


「ごめん、束縛しすぎって思ってない?」


そんな可愛い勘違いな声が届いた。

だから私は首を振って否定する。


『私の事ちゃんと考えてくれて、嬉しいなぁ〜って感動してた…の』

「え、そう? 普通じゃないの? 俺身体目当てじゃないも〜ん。ユヅキの気持ちのが大事。女の人って気持ちがないとダメでしょ? 男だって気持ちはあるし。ユヅキが大丈夫って思うまで待つから、それまでは…これでっ」


グインッて私を抱き上げるみたいにタカヒロくんの上に乗せられてぎゅうって抱きしめられた。


「このまま寝たら風ひく? 俺基本ポンだから平気なんだけど…」

『あ、うん。大丈夫…気持ち良い…』


突然私の顔を見てタカヒロくんが困ったように目を逸らした。


『なに? 私今変なこと言った?』

「…挿れないから、触っててもいい?」


たぶんこうやって確認してくれること自体、タカヒロくんの優しさなんだって思った。

私が『うん』て頷くと、ホッとしたような嬉しそうなタカヒロくんの笑顔が近づいた……


「キスは好き?」

『うん』

「じゃ、いっぱいしよ…」

『ん…』


言葉通り、いっぱいのキスをくれたタカヒロくん。


こんなに安心して眠りにつくのはいつぶりだろう。

私を抱きしめたまま軽やかな寝息をたてるタカヒロくんの寝顔はまるで天使みたい。

タカヒロくんが私を選んでくれてよかったって心から思った。


そういえばタカヒロくん、いつの間にか私の事「ユヅキ」って呼び捨てだったし…

私も『タカヒロ』って呼んだ方がいいのかな?

えー…何か緊張しちゃう。

『タカヒロ』って、ちょっと呼びたいかも!

明日起きて勇気があったら呼んでみよう!


『オヤスミ、タ、タカヒロ…///』


胸板にチュッてキスをして私も深い眠りについたんだ。






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