優しさor慣れ2




「独りじゃ怖くてさ…」

『え、え、え…』

「ん?ホラー苦手?同期に将吉っているんだけど、すげぇおススメって言われて見たかったんけど、どうにも独りじゃ嫌で…」


吃驚するくらい可愛いことを言ったタカヒロくんは、大きなソファーに座って隣をポンポンして私を呼ぶわけで…

完全に見る気満々…

実際コンタクトを外した私は、100%テレビがぼやけて見えるからホラーだろうが恋愛だろうが関係ない。


『オッケー』


私の返事を聞くとすぐにDVDは再生されて…

真剣に見ているタカヒロくんは、トレーナーの袖を掴んで女の子みたいに体育座りをしている。

私はやっぱり右側にいるタカヒロくんに神経が集中していた。

画面が見えないのに、ホラー映画となればそれなりの音もついていて、それだけで十分に怖い。

タカヒロくんはたまに煙草を吸いながら水を飲んでいる。

テレビに向かって「ダメだろ!」とか「何で行くのっ?」とか「戻るなって!」とか「うわっ、後ろ!絶対後ろだよっ!」って悲鳴みたいな声まであげている。


あまりに静かに見ている私に時折視線を移して「大丈夫?」って確認が入ったけど、『タカヒロくんのが大丈夫?』って言い返してみたら照れたように笑った。

そうやってタカヒロくんが暴れるからソファーの私は少し斜めにタカヒロくんに寄り掛かってる感じで。

不意に横でタカヒロくんがゴクンって唾を飲み込む音がして、目を懲らして画面を見つめていた私に飛び込んできたのは、ホラー映画にも関わらずのラブシーン…


外国映画のキスシーンが好きな私は結構なくぎづけになった。

日本人って多少の恥じらいもあるだろうし、みんな恋人同士じゃ外人に負けないくらいのディープなキスをしてるのにな〜…なんて思ったりもしてて。

ただ、残念なことに日本人じゃあまり恰好つかないっていうのが事実である。

だから憧れ的なものがあるのかもしれないな〜私。


………




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