運命の出会い5




視線をタカヒロくんに向けると、タカヒロくんも私を見ていて…


「手、迷惑じゃない?」


今更ながら遠慮がちに言った。


『あ、うん大丈夫』


私の言葉にホッとしたように笑って反対側についてる腕時計を見た。


「うち、来る?」

『え…』


予想していなかったわけじゃないけど、まさか本当に言われるなんて思ってなかった部分もあったから、つい素っ頓狂な声を出してしまった私に、直ぐさまタカヒロくんの苦笑いが返ってきた。


「ごめん、ウソ!」

『あ、行く!』


ウソと言われてつい答えた私も、結局タカヒロくんと離れたくないって想いが強くて…


「ほんと?大丈夫?連れてって…って何か下心見え見えだよな俺…」

『え、…あ…ははは…』


何て答えたらいいか専ら分からない私はどうにも笑う事しか浮かばず。

やっぱ遊びかな?

不意にそう思って寂しくなってしまった。


「信じて貰えないかもしれないけど…また会いたいって思ってたし、仕事中もユヅキちゃんのことよく考えてた。…好きになっちゃったみたいなんだけど、どーしよう?」


な、ちょ…

疑問形?

答えは私次第ってこと?

恥ずかしそうに私を見つめるタカヒロくん。

今日勝負下着じゃない!とか、化粧道具ちゃんとあったかな?とか、コンタクト液ないよね?とか、

私の頭の中はそんなことを一瞬で考えたけれど、この手を離したくないって事実は消えなくて。

タカヒロくんに触れたいって想いも消えるわけなくって…


『私も、また会いたいって思ってたし…好きになったみたい…タカヒロくんのこと!』


嬉しそうに笑うタカヒロくんの手に引かれてタクシーに乗り込んだ私達は、そのままタカヒロくんの家へと向かって行った。


人肌恋しい季節。

私だけの限定マフラーを見つけて、これからの季節を凌ごうと思う。

きっと物凄く暖かいんだろうな…






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