運命の出会い2




「へ〜それで?」

『それで?って、まぁそれだけ…』

「え?それだけ?」


バー“AKIRA”

大学時代の友人、アキラが経営する小さなバーで私は先週の合コンの内容を報告していた。

最近は仕事が忙しくて、中々ここにも来れずにいた私。

以前はしょっちゅう現れていた為、久しぶりに顔を見せた私に沢山お酒を出してくれて。


『だってまだ一週間しかたってないし…』


ポツンと言った私を凝視するアキラはゆうこと無しの男前。

すっごいかっこいいのに今は女に興味がないって言ってモテるのに彼女を作らないアキラ。


「もう一週間でしょ。せっかくのチャンスなのに…勿体ないなぁ」

『でもね、私がこうやって想っていても、連絡ないって事は、あっちが何とも想ってないって事じゃないのかな〜って』


あくまで弱気な意見を発していて。

そもそもあの日、家がわりと近めだったから一緒に帰った私達は、飲み会の席で全く喋れなかったせいかいっぱい喋ろうって意気込んでいたけど、どうにも話す事が苦手なのか?あまり喋らないまま駅まで着いてしまって。

アドレスと携帯番号は交換して、お決まりの「また飲み行こうよ」って社交辞令を交わしたものの、それから一週間何の連絡もなかった。

電話はおろか、メールもなくて。

そんなんだから私からも中々連絡出来ずにいて、受け身な性格もどうにかしたいと思いつつ、どうにも自分からいけないのが私で。


「その人、どんな人?」


仕方なく(?)アキラがそう私に聞いた時だった。

カランってバーの入口が開いてお客さんが入って来た。


「いらっしゃい」


アキラがそう言って視線を移すと「タカヒロ!」って声を発して、首だけ動かして私もそちらを向くとそこにはたった今話をしていただろう彼、タカヒロくんが疲れた顔でカウンターに手をかけた。


『タカヒロくん?』


私の声に気づいて視線を飛ばされて…

ほんの一瞬キョトンとした顔でこっちを見ていて。


「え?ユヅキちゃん?うわ、偶然?どーしたの?」


タカヒロくんは私に向かって目を大きく開くと、すぐに駆け寄ってきてくれた。

心地良い匂いは今日も健在で、やっぱりかっこよくて…


二度目の出会いこそが運命なのかな?なんて都合のいい事を考えていた。





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