甘えん坊2
「はは、タカヒロさんすごい自慢してましたよ、ユヅキさんのこと!」
『え?』
私がタカヒロを軽くあしらっていると、横から八木くんが優しそうに微笑んでそう言った。
会社の人もまだ沢山いて、みんなが私を見ている。
「ユヅキは俺のこと何でも分かってくれて、全部が一緒だから嬉しいって。こんなに夢中になったのは初めてで、ユヅキと出逢う為に生まれてきたんだって!!」
それは…嬉しいけど、やっぱり恥ずかしいよ〜。
でも、私のことそんな風に思ってくれて、それを私以外の人に言ってくれるのって何だかとっても幸せを感じる。
私だけに言うのと、第三者に言うのとじゃ…
みんなに私をちゃんと紹介してくれたんだね。
ありがとう、タカヒロ。
眠そうな顔のタカヒロの柔らかい髪をそっと撫ぜた。
「ハグしてぇ〜ユヅキ、オネガイ!」
『もう、仕方ないなぁ』
そんなお願いきかないわけにはいかないって分かってやってたら、完全に確信犯よねぇ、もう。
でもそれすらも私には嬉しいけど…!!
手を伸ばしているタカヒロの腕の中にそっと身体を入れると、簡単に腕を背中に回されてスッポリとタカヒロの胸に抱きしめられた。
チュって髪に小さなキスを落として、耳元で「愛してる」小さく囁くんだ。
なんていうか…――――本当に酔ってるの?
チラっと私が顔をズラして見上げるとタカヒロと目が合って…
「ごめんね、迎えにこさせて」
わりとちゃんとした口調でそう言った。
『タカヒロ酔ってる?』
「すげぇ飲んだ…けどユヅキ見たら吹っ飛んだ。ね、早く帰ろ?」
『もう、分かっちゃったよぉ』
「でしょ―!?」
見た目よりも酔ってなさそうだけど、タカヒロの足はフラフラで、八木くんに家まで運びいれて貰った。
『ありがとうございました』
「いいえ〜」
『あの後日ちゃんとお礼させてくださいね?』
「わはは、楽しみにしてます!」
「将吉、早く帰れよ―!」
『タカヒロ!すいません…わざわざ来ていただいたのに…』
「いいっすよ、じゃボク帰りま―す!」
『あ、じゃあ外まで行きます!』
「いいっす、いいっす、待ってますよ、タカヒロさん」
八木くんにまでそうあしらわれて、私はタカヒロの待つ寝室へ行った。
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