シャンパングラス2




タカヒロと出逢った時だって私たちの邪魔をすることもなく優しく見守ってくれていて…

私はクリスマスにアキラに貰ったプレゼントを開けてみた。


『これ…』


入っていたのはツインのシャンパングラスと、小さな箱の中に可愛らしいピアス。


「アキラ、代われって」


同時にタカヒロが振り返って私に携帯を返してくれた。


『…はい』

【なに、プレゼント見たの?】


なんで分かるの?

私は小さく『うん』って頷いた。

電話の向こうでアキラがほんの少し笑った気がして…


【どっちを使う?】


そんなアキラの問いかけ。

ズルイなぁ…。


『分かってるんでしょ?』

【まぁ、99%はね】

『…ごめんなさい』

【いいよ。でもこれだけは言わせて…】


そう言ったアキラ、電話口の向こうでふう〜っと息を吐き出した。


【ずっと好きだったユヅキのこと…ほんとに…。けどユヅキが幸せでいてくれることが俺が願い続けてたこと。だから悲しむなよ?むしろ嬉しいしね。幸せになれよな】

『…ありがとう…』

【いいえ、じゃあね。タカヒロに宜しく!落ち着いたら又二人でお店こいよな!】

『…うん』


携帯を切った私をタカヒロが後ろからそっと抱きしめた。

小さく髪にキスを落とす…


「大丈夫だって、あいつ顔はいいからモテルだろ?」

『…そうだね』

「絶対幸せにするから…ユヅキは俺が!信じて」

『タカヒロ…ありがとう』

「愛してる」

『私も』


消えゆくアキラの想い。

私はそっと目を閉じて、しばらくの間タカヒロの温もりを感じていた。


その日の夜、アキラのくれたシャンパングラスをタカヒロと二人で使った。

小さな箱の中のピアスは静かに机の奥に仕舞い込んだ。

だって私、ピアス開いてないもん。

最初から分かっててピアスを選んだアキラの気持ちが優しくて、その日は少しだけセンチな気持ちだった。

私というよりはアキラの気持ちを考慮して、元気になった頃にまたタカヒロと二人であのお店に行こうと思う。

あのお店でタカヒロと二度目の出会いを果たして…―――――


もしかしたらあの合コンがなくてもあの店で出逢ったとしても、私はタカヒロとこうなるって、そう思うから…。

アキラの為にも、幸せになろうと思う。






*END*




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