一緒に住もうか3
特に遊具で遊ぶわけでもなく、かといってベンチに座るわけでもなく、タカヒロと私はゆっくりと歩いていて…。
突然タカヒロがクルリと私に背を向けて、それからふう〜って息を吐き出した。
そうやって私の方に振り返ったタカヒロは、真っ直ぐに私を見つめて…
「ユヅキ」
そう呼んだ。
『はい?』
「俺、ユヅキのことすごい好きだし、めちゃくちゃ愛してる…。出逢って間もないけど俺の中でもう、ユヅキ以外いないんだ…うん」
『………』
「ユヅキさん…」
『…はい』
「一緒に住もうか?」
差し出された最後のクリスマスプレゼント。
ゴールドの鍵に黄色いリボンがついたその鍵を私の手の平に乗せるタカヒロ。
まさかこんな展開、想像もしていなくって…
こんなプロポーズみたいな演出、超反則だよ!!
もしかしたら、プロポーズ?って思ってドキドキしたのに〜…
緊張とドキドキで、私の瞳からはまたあの熱い涙が零れ落ちてしまう。
でも、ちゃんと答えなきゃって。
グッと涙を飲み込んで…『はい』そう一言答えた。
そんな私を見下ろすタカヒロはホッと、さっきとは違う息を吐き出した。
「ほんとにいいの?」
『はい?』
「いや、嬉しくて…」
『…ちょっとプロポーズかと思ってたんだよ私。何かタカヒロすっごい緊張してる感じしたから…』
「え…――――プロポーズのつもりだったんだけど…」
『…―――え…そうなの?』
「…そう…なんだけど…もっかいちゃんと言った方がいいよね…」
あたふたタカヒロが髪を手でかき乱す。
「結婚して」とは言われていないけど、そっか…前振りで私しかいないって言ってたか…。
何だかドキドキしすぎて私も何が何だか分からなくなってる?
ふわふわしすぎてる…?
目の前のタカヒロも、今までに見たことないくらい動揺が見え隠れしていて…
この旅行の前からずっと私に言うって決めていてくれたんだろうな…て思うと、自然と頬が緩んでしまいそうだった。
やっぱり相手の口からハッキリ聞きたいんだなぁ、女って生き物は。
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