■ 崩壊1



この先何が起きようとも


わたしの気持ちは変わらない…


――――――――――――――――


『直人は…わたしの側にいてくれる?』


ボソッと呟いてみた。

最近特に思うんだ。

わたしが直人に対する気持ちと、ノリが哲也に対する気持ちは似ているんじゃないかって。

最愛の哲也への満たされない気持ちを、直人で補おうとする…じゃないけど、直人だったらどんなわたしでも受け止めてくれるって。

直人だったらどんなわたしでも受け入れてくれるって。

例えばそれは、わたしが殺人犯だったとしても、直人はわたしを見捨てたりしないんじゃないかって。

むしろわたしの罪さえも被ってくれるんじゃないかって。

例えばわたしが風俗でバイトをしていたとしても、わたしを助けてくれるって。

借金抱えてでもわたしを闇の世界から連れ出してくれるんじゃないかって。

わたしがどんなに哲也を好きかなんて、直人は痛いほど分かっているだろうし。

それでも直人はわたしの側から離れなくて。

わたしが『会いたい』と言ったらどんな所にいようと、どんなことをしていようとバイクを走らせる。

わたしの一声は、直人にとって¨絶対¨なんだって。

だからわたしはこの言葉を使ったんだ。

急にそんなことを言ったわたしを、吃驚したように見つめる直人。

それでもわたしを見つめる瞳は優しくて。


「いつでもいますよ」


うん、ほら。

直人の答えはいつだって分かってるの。

分かってるのに言わせたのは、直人自身に植え付ける為…。

悲しいかな…

まるでノリみたいに。

哲也を縛りつけた、ノリと同じように。

わたしもこの先ずっと、直人を縛るんだろうか。



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