■ 決意1



友達が欲しいと

願ったあたしに

罰が当たったのかもしれない…





――――――――――…



『ゆきみ…ごめんね』


そう口に出した声は酷く震えていて。

泣いてるゆきみを抱きしめていたあたしは、いつの間にか同じように涙を流していた。

ケンチも直人も近づけないあたしとゆきみの距離。

あたしの謝罪に、ゆきみが顔を上げてこっちを見ているその瞳は…ちょっと困惑している。


『どうして奈々が謝るの?』


同じような涙声があたしに届いた。

だってあたしがタカヒロを独占しているから。

独占しているのは夜から朝までの数時間。

あたしの家から出たら、タカヒロはノリの元へ帰る、ノリのタカヒロに戻るから。

それが辛くて逃げ出したくせに、周りの環境は何一つ変わってなくて、タカヒロのいないことへのノリの苛立ちは収まることなく当たり散らされる。

だから哲也くんが出て行くしかなくて…


―――それがゆきみを苦しめている。


たった一人の大切な親友のゆきみを悲しませている…

するべきことは分かっている。

行動にする勇気がないあたしを奮い立たせたのは、ゆきみの涙しかない。


『あたしがタカヒロを独り占めしてるから…』


ボソッとそう呟いたら、ゆきみが首を左右に振った。

その瞳にもう涙はなくて…


『タカヒロがすきでやってることでしょ、奈々が悪いんじゃない!』


こうやってあたしを見つめていつもより口調が強くなるのは、ゆきみもチームoneの一員なんだ、ヤンキー特有の強い目を持っているんだって思わずにはいられない。



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