■ 違和感1


【side ゆきみ】



一つの気持ちを隠す為に重ねる嘘はもう、愛としか言いようがない


―――――――――――…


青倉庫の雰囲気っていうか、空気が変わったのはごく最近。

チームの上に位置する面子の目つきがいっそう鋭く見える。

それは哲也にも値するわけで。

最近はケンチさえも怖く感じる。

元々目が笑わないケンチは、最近奈々とベッタリだった。


「アイス食わねぇ?」


そう言ってきたのはケンチで、倉庫の日陰でぐったりしているわたしと直人に、バイクのキーを振ってチャリチャリ揺らして見せる。


「ケンチさんの奢りっすか?」

「仕方ねーな」

『じゃあみんなで買いに行こう』


ニッコリ奈々がケンチの後ろから顔を出した。


『うん』


そう言って立ち上がって直人の後ろ、バイクに乗り込むわたし。

ケンチの後ろは当たり前に奈々で。

何だか違和感を感じてしまう。

わたしはてっきり奈々はタカヒロを好きなんじゃないかって思っていて。

タカヒロが奈々を好きか?それは分からないけど、タカヒロが奈々を守っているって話を聞いてからそう思っていたんだ。

だけど、最近の奈々はケンチと一緒じゃなきゃ行動をしない。

それは単にケンチが奈々の送り迎えをかって出ただけでは済まされない気がする。


コンビニ前にバイクを停めて四人で入る。

悠長にアイスを選んでいるわたし達。

こーゆう時はすごい楽しいのに、何でかな…何となく最近寂しくなる。

理由は分からないけど、すごく寂しくなるんだ。


『哲也の分も買ってもいい?』


クイッてケンチのTシャツの裾を引っ張ると「いいよ」って優しいケンチの声が返ってくる。



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