■ 叶わぬ想い4
タカヒロが近づく度にあたしの心臓はちょっとだけ高鳴ったりして。
でも、絶対にこっちを見ない。
彼女と一緒の時はタカヒロは絶対にあたしを見ない。
それはタカヒロの言った通り、それであたしを守っているとも言えるわけで。
ふと視線を感じて顔を上げるとジッとこっちを見ているタカヒロの彼女。
確実にあたしを見ている…気がする。
なな…なに?!
え、あたし?
ええっ、まさか…
グイッ!
すぐに視線を遮るかのよう、タカヒロの腕が彼女の肩にかかる。
耳元で何かを呟いたタカヒロに彼女はすぐあたしから目を逸らした。
たぶんきっとあたしを守ってくれたんだって、そういう事なんだと思う。
もし彼女があたしに対して何か勘付いているなら、今のタカヒロの行動はあたしから注意を逸らす為だってそう思う。
タカヒロが彼女の事を大事に思っているのは変わらない。
あたしにどんな気持ちを抱いているかは分からないし、むしろ同情なのかもしれない。
でも…タカヒロが彼女に対する想いは決して変わらない。
変わるわけがない。
それが現実。
少しだけ胸が痛んだ。