■ one5
わーわーわーっ
あたふたするのを必死で抑えてわたしはギュッと彼女の小さな手を握った。
前屈みになるようにスカートの上に泣き崩れる彼女の涙は今まで見たどの涙よりも綺麗で、わたしは胸の奥がギュッと痛くなった。
『そっか、じゃあわたしが友達一号だね!』
そう言ったら、彼女がパッと顔を上げて涙をボロボロ零しながらわたしを見つめる。
はたから見たらちょっと危ない二人かも…
『えっ…友達一号?』
それはそれは大きな目でわたしを見ている訳で。
わたしにとっても初めてのこと。
哲也の側にいると女の子は怖がって寄って来てはくれなかったし、それに対して自ら友達を作る気もなかったから。
哲也さえ側にいれば…
そんなわたしにとっても初めての友達。
『うん!わたしゆきみ』
『あ、…奈々です』
硝子みたいな奈々の心が溶けてくれたらいいな…ってそう思えた。
わたし達はニッコリ笑いあったんだ。
それが、わたしと奈々の出逢いであって、辛い恋への始まりだったなんて…