■ 親友の世界6
『直人、哲也は?』
「いますよ、今日はこもりっぱなしですけど」
ゆきみの質問にしっかりと振り返って答える直人くん。
あたしは窓の外を眺めながら静かに耳を澄まして聞いていた。
『ノリいるの?』
「はい、来てると」
『そう』
どうしてか、ゆきみの空気が重く感じた。
学校で見ていたから…
というより、自然と目に入ってしまうタカヒロと彼女の姿。
ゆきみと哲也くんがラブラブしている感じとは全く違う、イチャイチャって言葉通りの二人。
廊下を歩く時も、彼女を後ろから抱きしめて歩く。
見ているのも嫌になる程に、視線のいきどころがない二人。
相思相愛は分かるけど、ベタベタしすぎだろって正直思う。
そんな二人が又ここのチームにはいると思うと、少しだけ気分がめいいった。
隣にいるゆきみも同じように溜息をついたから、てっきり同じ考えなんだってそう軽く思っていたあたしは、全然違う理由のゆきみの溜息に気づくのは、もう少しだけ後だったんだ。