■ 親友の世界3


そこに、あたしには分からない二人だけの何かがあるんだなって。

それでもゆきみが好きなら、

哲也くんが好きなら、

うまくいってほしいと思うのはあたしの勝手な望みなんだろうか。


『奈々さ…』


そんなあたしの感情とは全く掛け離れたよう、一瞬ゆきみの声のトーンが下がった事にビクッとしてしまう。

慌てて動揺がバレないように体を逸らした。

ドライヤーを止めてシーンとしているゆきみの部屋に小さな沈黙が流れる。

ドキドキしながらゆきみを見るとジッとあたしを見ていて。


『な、なに?』


おそるおそる聞くあたし。

ゆきみは言葉を選ぶような、迷っているようなそんな表情を浮かべていて。

タカヒロが、ゆきみに言ったのかもしれない。

バレたくないよ、ゆきみには…

そう思っていたあたしに。


『…チームに入るの、大丈夫?』


聞こえた内容に思わず『えっ??』と素っ頓狂な声を漏らす。


『わたしもね、ちゃんと入ってる訳じゃないと思うんだけど。哲也が心配だから着いて行ってるだけで…』

『へっ?うん、あたしは別に…』

『タカヒロ…きっとまた奈々を呼ぶと思う』


思わぬ言葉に、違う意味で心臓がキュッと鳴った気がした。


『あたし行ってもいいの?』

『…だ、大丈夫?無理矢理連れて行くのは嫌だから聞いとけって、哲也が』

『あたしはゆきみと一緒にいたい』


そう言ったらホッとしたようなゆきみの顔。

てっきりあたしが夜中にうろついていた¨理由¨を聞かれるものだと思っていたから、あたしも内心ホッとして笑みを返した。

今時暴走族なんてどうなの?って思う人も沢山いるんだろうけど、それ以上にあたしはゆきみが好きで、ゆきみがいて、ゆきみが見ている世界をこの目で見てみたいと思ったのは嘘じゃない。

それはあたしが生きてきた世界とはあきらかに掛け離れたゆきみの世界。

そこに自分が入れるなんてゆう錯覚はしないけども、少しでも感じてみたい。

あたしもそっちの世界に行けるなら行きたいんだ…

そう、行けるなら――――



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