■ 親友の世界2
「だってキム○クまじかっけーんだもん!」
『ふふふ、そうだね』
「俺髪伸ばそっかな〜」
『え…』
「ゆきみはクルクルしてて可愛いからそのままな」
『…ん』
なな、なんだこれは!?!
哲也くんってこんな可愛いキャラじゃないよね…
いつも強くて
ゆきみを守ってる感じで…
これってもしや、ゆきみと二人きりの時限定ってこと?
キャー…ってあたしが心の中で悲鳴を上げた瞬間、哲也くんの携帯が鳴った。
一瞬眉間にシワが寄った哲也くんは、すぐにいつも通りの顔に戻って窓際に来る。
「早く寝ろよ」
あたしの知るいつも通りの哲也くんの口調と表情に戻ったようで。
スッと手を伸ばしてゆきみの髪に触れた…
そのまま流れるように頬に手を添えると「おやすみ」って小さく呟いた。
チラッとあたしにも視線をくれたから、軽く頭を下げたら哲也くんも小さく頭を下げてくれて、又ゆきみに視線をずらす。
『おやすみ哲也』
そう言うのを待っていたかのように、ゆっくりと哲也くんがゆきみから離れた。
ピシャリと窓が閉められて、ゆきみも窓を閉めた。
『吃驚した?』
振り返ったゆきみが恥ずかしそうに言った。
それは勿論今の哲也くんの態度を言ってる訳で。
こんな二人の関係をどうして付き合っていないとゆきみは言うのか疑問さえ浮かぶ。
あたしが恋愛上手なんてことは決してないけれど、二人が好き合っていることぐらいは分かる。
ゆきみは確かにとっても好きなんだろうって思うけど、だからといって哲也くんの気持ちが劣っているようには見えないし、冗談半分で哲也くんがゆきみを構っているとも思えなかった。
『うん、どっちが…?』
『どっちも哲也(笑)ずっとああだったの今までは。高校生になってからかな、チームにいる時以外もかっこつけてんのは…』
そう言うと、ドライヤーを手に取って髪を乾かし始めた。
それって哲也くん、ゆきみを意識しているって事なんじゃないのかなぁ?ってあたしは思ってしまうんだけど。
ゆきみは何だか複雑な表情を浮かべていて。
ゆきみにだけ見せる特別な顔って気がして、あたしはやっぱりそんな二人の関係が素敵に思えた。
だから――――
『本当に付き合ってないの?』
そう聞いたあたしに『うん』てゆきみが答えたけど、どうしても真実味がなくって。