■ 隠し事6
【side ゆきみ】
『哲也、痛い?』
「痛ぇ…(笑)」
ホットタオルで特攻服を脱いだ哲也の身体を拭きながらそう言った。
哲也の身体には沢山の傷があって、又その傷が増えてしまった事に心が痛む。
止めないタカヒロを責める事しか出来ない弱いわたしのくせに。
「俺の意思でこうしてんだ、タカヒロのせいじゃねぇ」
そんなわたしに喝を入れる哲也。
悔しくて唇をぐっと噛み締める。
溢れそうな涙を必死で堪える。
心配ご無用、余計なお世話だってそう言われてるみたいで、わたしはただ黙って哲也の手当を続けた。
こんな事もうしたくないのに
こんな身体もう見たくないのに
「泣くなよ」
哲也の声に首を振る。
わたしが泣く度に困った顔をする哲也は、わたしが泣く事を嫌がるから。
困らせたい訳じゃないし、怒らせたい訳でもないの。
―――ただ哲也が好きなだけなのに。
「ゆきみ?」
『………』
「悪い、言いすぎた」
哲也がわたしを抱きしめた――――
どうしてそんな事するの?
わたしの気持ちに応えられないくせに
優しくなんかしないでよ。
想いは何一つ哲也に通じなくて、わたしは涙を堪える事しか出来なかった。
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