■ 新ルール5


【side 奈々】




『しばらく戻ってこなかったりして?』


甘甘モード全開で消えたゆきみと哲也くんを見ていたあたしは、ちょっと笑いながらそう言った。


「それリアルに凹みます」


小さな直人のぼやきに、あたしは直人の頭を撫でた。

あの日、直人があたしの送り迎えをするようになってから当たり前に直人と過ごす時間が増えて、それまであまり知らなかった直人のことを沢山聞いたりしていた。

ゆきみへの気持ちもあたしはしっかりと直人から聞き出していて。

話題が尽きることなく直人はどんな質問にも答えてくれた。

それは本来なら言いたくないことまで事細かに話してくれて、隠すことない直人の想いは本物で、あたしに隠し事をしなかった直人は、あたしを少しでも不安にさせないようにしてくれていたんだって今はそう思う。

あたしが知らないoneのことや、ケンチのこともほとんどを直人から聞いた。

哲也くんに殺されても、ゆきみが自分を選んでくれたら絶対守りぬく!

そう言った直人の顔は、あたしでさえドキッとしたくらいで。

ゆきみと哲也くんが相思相愛で嬉しいって思う半面、直人にもそーゆう相手が現れたらいいなって思わずにいられない。

自分の大好きな人が自分を好きでいてくれるってことが、どんなに奇跡なのかあたし達は嫌ってほどに分かったんだ。

そんなだからあたしはタカヒロの方に歩いて行った。

タカヒロのジャケットを着ているあたしは、みんなが道を開けてくれる。



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