■ 前進5
『哲也?』
「…あぁ」
哲也の部屋のベッドで向かい合っていたわたしは、そっと哲也の前に腕をかざした。
迷うことなくわたしの腕をとって引き寄せる哲也を、その流れに任せて押し倒した。
正確には哲也がわたしを引っ張りながら後ろのベッドに体重を落としていって。
哲也に馬乗り状態のわたしは、上から見下ろす格好で
『好き―――』
「………」
『哲也がそうしたいなら、わたしもそうしたい。もうわたしに遠慮とかしないで。わたしはいつだって哲也だけのものだよ』
そう言って、自分から哲也にそっとキスをした…
唇と落とすと、哲也の腕がわたしの背中をしっかりと抱きしめて…
「――俺も、もうお前しか見えねぇ―――やっと言える…」
『え?』
「愛してる」
ブワってわたしの瞳に涙が滲んだ。
哲也の力強い腕がわたしを抱えるようにしながら向きを変える。
わたしを組み伏せている哲也はゆっくりとわたしの顔に唇を落として…
”ゆきみ”って存在を確かめるかのように、沢山のキスを降らす。
哲也の吐息が、視線が…わたしを熱くさせていく。
感じたことのない感覚に目を閉じるわたしに、耳元で何度も「愛してる」って囁く哲也。