■ 責任感6
ノリの言葉にわたしはジーンズのポケットを探って、タカヒロと同じ紙袋を取り出した。
ノリの視線がわたしに移って更に困惑めいた表情をする。
『奈々が、ああなったら紙袋被せろってタカヒロに渡されたんだった』
『何よそれっ…どうなってんのよ?哲也っ』
そうやって哲也を独占しようとするノリは、困惑しながらも動揺を隠しきれずに、哲也に助けを求めるんだ。
わたしを抱えていた哲也の腕がゆっくりとわたしから離れて…
こんな瞬間わたしはいつも直人に逃げたくなる。
ノリの側に行こうとする哲也を見ていることが辛くて、わたしは直人に視線を向ける。
そんな直人はしっかりとわたしを見ていてくれて、でもわたしの所には来てくれないんだ。
『哲也、なんなのあれ?ねぇ、どーゆうことっ?あたしを不安にさせないでっ』
何も言わない哲也の足音は、ノリとは反対側のタカヒロの所へ向かっていて…
まるで何を言われるのか分かっているようなタカヒロの顔は真剣そのもの。
「タカヒロ…俺はもういいか?」
意味不明な言葉にタカヒロはしっかりと「あぁ…」って答えた。
そのまま哲也はわたしの前に歩いてきて…
「もうお前だけだ。…ゆきみ以外守るつもりはねぇ…」
そう言って驚くほど強く、わたしのことを抱きしめた――――