■ 一途さ4
【side ゆきみ】
その日から、忠実直人は奈々をしっかり守っていた。
今までずっとケンチがその役割を果たしていた奈々の移動は、直人の役目となりつつある。
TAKAHIROのいない青倉庫には、哲也がいて。
VIPには勿論ノリもいる。
わたしの送り迎えは、哲也だったり、ケンチだったりで…
直人じゃないことを、少しだけ悲しく思っている自分がいるなんて。
世間一般的なお盆に入ると、青倉庫に来るチームの子も限られていた。
それでも行く場所なんてないわたし達は、やっぱり青倉庫に行くしかなくて。
そうなると、さすがの奈々も人の少なさに青倉庫に顔を出していた。
哲也が倉庫を仕切ってからは、奈々を変に見る奴もほとんどいなくなったけど、それでも奈々は毎日倉庫に来るのを躊躇っている。
人がいないっていうのが好都合だったのかもしれない。
もしかしたらそうなることをずっと待っていたのかもしれない。
みんな不安に思っていたに違いない。
理由を聞きたくても聞けないから歯痒い思いでいたって。
真実を知りたいけど。
むしろわたしは、一言言ってやるつもりでもいて!
奈々をどんだけ泣かせたの?!
そう言ってやるつもりだったわたしは、哲也に止められるまでもなく、自ら口をつぐんだんだ。
何を思ってそうしているのかは分からないんだけど、その瞳はぼんやりとしていて。
VIPに入ることなく静かに外で煙草を吸っているんだ。
そんなタカヒロの前で、ケンチとわたしは今時水鉄砲で遊んだりしていて。
そんなわたし達を見つめているタカヒロは、誰かが来るのを待っているようにも思えて。
一体今まで何してたの?
奈々をほったらかしにして!
奈々がどれだけ肩身狭い思いしたと思ってんのよ!
ノリとだってケリがついてないくせに。
ノリの暴言止めるのはあんたの役目でしょうが!!!