■ 寂しい赤い糸2


【side ゆきみ】




『体調悪い、帰る』


そう言ってタカヒロを独占するノリは、青倉庫の前でたむろってるわたし達を一瞥して通り過ぎた。


奈々とわたしが戻ってから三日。

タカヒロがノリに何て言ってるのかは知らない。

だからってわけじゃないけど、わたしはVIPには入らない。

やっぱりあの部屋は好きになれない。

例え、哲也とノリが二人きりになっていたとしても。



『ゆきみちょっと』


行ったと思っていたノリ。

タカヒロを送迎車に残したままわたしを呼んだ。

ノリがわたしに用事だなんて、今の今まで一度もなくて。

いつも間接的に話している感覚だからか、こうやってノリと向き合うことなんて初めてで。

内心ドキドキしながらもわたしは立ち上がってノリの側まで歩いて行った。


一体、何を言われるんだろう?

奈々とタカヒロの関係がバレた?

奈々のことあまりよく思ってないっぽいし。

わたし、何て答えたらいんだろう?

――それとも哲也のこと?

まさか、この期に及んで哲也奪略宣言とか?

数歩の足どりが重くて、ノリの側に行くまでにわたしの脳内は既に半パニっクをおこしていた。


『なに?』


そう聞くわたしをジッと見つめるノリは、何も言わない。

足元に視線を落として唇をギュって噛み締めているように見えて。

そんな態度を取られると、ノリの話が嫌なことに思えて仕方ない。

そんなに言いづらいこと?

わたしが傷つくようなこと?

それとも、奈々が…―――



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