■ 星に願いを3
【side 奈々】
夜、相変わらずの爆音にホッとしてしまうあたしは、チームoneの一員なんだと自覚した。
眠っていたケンチと直人も起きて、うちでみんなでご飯を食べた後、迎えの車に乗り込んだ。
直人のバイクはチームの子が乗って行くわけで、あたし達はワゴン車に乗って星が見える絶景スポットまで行く。
親戚のお兄ちゃんに教えて貰ったそこは、天の川並みの星が見えて星好きなゆきみにはもってこいの場所だって思う。
『奈々わたしもうやばい』
ワゴン車の真ん中、窓に張り付いて空を見上げているゆきみは頬が緩みながらも目を潤ませていて…
そんなゆきみにあたしも笑顔が零れる。
『頂上まで行ったらもっとすごいよ?ゆきみってば泣いちゃうかもね』
『流れ星見れるかな?』
『ん〜どうかな?』
ゆきみは何を願うんだろうか。
哲也くんのこと?
oneのこと?
それとも…――あたし?
あたしの願いなんて決まっている。
「もうすぐ着きますよー」
運転手の隆二くんがそう言うと、ゆきみが足をバタバタさせる。
車のライトだけが照らすこの道は、山奥で夜だけど空気が澄んでいて少し涼しくも感じる。
大広間に車を停めて外に出たあたし達、その頭上を見上げて声を失った。
月が明るすぎちゃうと星が見えにくいこともあるけど、今夜の空は最高の天の川が広がっている。
涙が出ちゃいそうな広大な空には青白い星粒が沢山散りばめられている。
『ずっと見せたかったよ、ゆきみに』
そう言ったらゆきみがギュっとあたしの手を握りしめた。
だから何も言わずにあたしも握り返したんだ。