■ 執着の理由4


『でも奈々の恋は応援したいっ!…奈々には辛い想いしてほしくないの…』

『うん、分かってるから!!ごめんね…あたしタカヒロが好き……何度もね、諦めようって思った。タカヒロなんて好きなわけないって自分に言い聞かせたり…離れれば忘れられるんじゃないかって…。でも何処にいても、何をしていても…タカヒロがあたしから離れなくて…逢いたくて仕方なかった……』


あたしの言葉に『うん、うん』って頷くゆきみも…

この数日間姿を消していたってタカヒロから聞いて。

あたしと同じ想いを抱えていたのかもしれないって思ったんだ。

もしもあたしがoneに入らなかったら、ゆきみと仲良くならなかったら、ゆきみにこんな想いさせなかったんじゃないかってそうも思うけど…

あたしを思って泣いてくれるゆきみの涙に嘘はないって、信じられる。

あたしたちの友情は間違いなんかじゃないって。


『ね、ゆきみ…もっと色んな話しよう!もっとあたしゆきみを知りたい。ゆきみもタカヒロも…あたしにとってはかけがえのない大切な人だから…』


あたしの言葉にゆきみが小さく頷いた。

きっとゆきみだって、あたしと一緒。

こうやって誰かに話を聞いて貰うことも出来ずにいたんだって。

こんなにも辛い気持ちを、たった一人で抱えていたんだって思うと、胸が痛いけど…




――――――――でも、思う。


あたし達、幸せになる為に出会ったんだよね…





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