■ お前じゃなきゃ…6
「俺も聞きてぇことあんだけど」
たぶんもうわたしが理解したって思ったんだろう哲也は、そう言葉を続けて。
『うん』
頷いたわたしをギュッて抱きしめる哲也…
「心配した…」
『哲也…』
「これ…どうした」
それは、一馬の所に行ってる間にリカ先輩にお願いして入れて貰ったタトゥーで…
左腕の所に入れて貰ったそれに触れている哲也…
『怒ってる?』
「半分。もう半分は罪悪感」
『うん』
「入れたのここだけだろうな?」
そう言われたから…
『自分で確かめればいいじゃん…』
そう言って哲也から身体を離した。
うんともすんとも言わない哲也は、ただ瞳をパチクリさせていて…
ジッと見つめるわたしにゆっくり近づいた…
何度しても、慣れることのない哲也とのキス――――
胸の奥がギュンって痛い…
キスをしながら、再び布団の上に哲也ごと押し倒されて…
哲也の香りを強烈に浴びる。
わたしにのしかかる哲也の息遣いはちょっと荒くて、熱い。
強引なのに優しいその手つきにキュンとする。
わたしの身体を探るみたいに服の中に手を差し込む哲也は、それでもキスを止めなくて…
その舌でわたしの舌を絡みとって歯列をなぞっていく…
舌が触れ合う度になんともいえない甘い音が響いて、頭の中が真っ白になっていく。
「やべ…」
小さくそう呟いた哲也の舌が、ゆっくりとわたしの口内を出て首筋をなぞったその瞬間…―――
キュルルルルル〜…
わたしのお腹が音を立てた。
こんな時に最悪。
カアー…
赤くなるわたしから離れた哲也は、口元に笑みを浮かべている。
「飯が先だ、ちゃんと食えよ」
そう笑って哲也がわたしを起こしてくれた。
そのままリビングらしき所に連れて行ってくれて。
大きなお皿に乗っている奈々の家の手料理。
一週間以上何も口に出来なかったわたしの身体は、哲也が隣にいるってだけで、何もかも美味しく食べれるなんて…
『ゆきみっ!』
夢中でご飯を頬張るわたしに聞こえたのは、大好きな奈々の声だった。