■ お前じゃなきゃ…3


『なに?直人はどうしてるの?』


有無を言わさず答えを求めるあたしに、リーダー君はやっぱり苦笑いで口を開いた。


「哲也さんの女がどーのこーの…って。そっちを捜してるから間違っても連絡すんなって…」


ズキン…て胸が痛んだ。

哲也くんの女なんて、ゆきみ以外にいない。

要するに、ゆきみも消えたってことだって…


『ゆきみが、いなくなったの?ゆきみの捜索もしろって?』

「…はい」


どうして…

携帯を開いてゆきみに電話をしようとしたその時だった。


「奈々さんoneが着きました、こちらです」


えっ、もうっ?!?

途端にドキドキし始めるあたしの心臓。

あと数秒でタカヒロに逢えると思うと、緊張でどうにかなっちゃいそうで。


『あ、あたしトイレ』


慌てて向きを変えたあたしは


「我慢出来ませんか?もう見えてます…」


そう言われて、仕方なく立ち上がった。

歩こうとしたあたしの目の前で、リーダー君が携帯を開いて、あたしに視線を送る。


「え?哲也さんはセカンドだよ、え?いる?」


哲也くんの名前にほんの少しあたしの緊張が解けたような気がして。


『哲也くん?』


そう聞いたあたしに、リーダー君は耳から携帯を外した。


「女が?…すいません奈々さん、哲也さんは青い髪じゃないですよね?」

『直人!それ直人っ!!ゆきみは?ゆきみはいるのっ?』

「いるそうです。向かいますか?」


迷う必要なんかなくて…

象の中にいる間も、sevenのみんなのバイク音で、自分の携帯が鳴ってたことに気づかなったあたしは、ただのバカモノだ。

だって、開いた携帯には何度もゆきみからの着信があったんだ。



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