■ お前じゃなきゃ…2
「え〜っと三日の朝っす」
あたしがケンチの家を出た日…
分かってた。
こうやってタカヒロはいつだってあたしを助けてくれるんだって。
心のどこかで分かってた。
あたしをあの闇から唯一救い出してくれたタカヒロだもん。
だから、嬉しくて…
例えノリという彼女がいたとしても、今こうやって全力であたしのこと捜索してくれてるって思うと嬉しくて。
溢れる想いが涙に混ざって零れ落ちた。
泣き出すあたしを見て困惑してるみんな。
「あのっ、どっか痛いっすか?すいません俺らがむしゃらに追い掛け回してしまったんで、もしかして怪我とかされてます?」
遠慮がちにそう言うリーダー君。
あたしは涙を拭って『大丈夫です』って答えた。
「でも…」
『うん、嬉しかったから』
「えっ?」
『みんなの気持ちが』
そう言って笑ったら、みんな安心してくれたみたいに微笑み返してくれた。
ねぇ、ゆきみ…
ゆきみに会ったら話したいことが沢山あるんだ。
早くゆきみに、タカヒロに逢いたい。
「とりあえずそこに移動しません?」
そう言われてあたしは彼らチームsevenの面子に囲まれながら、公園の中にある象の滑り台の下に移動した。
そこで色んな話しを聞いた。
oneの下には関東圏の周りにも沢山の配下があって、チーム名はその数字ごとにランク付けされているらしい。
トップにいるタカヒロは誰もが恐れる神的な存在の人だった。
集合がかかったのはタカヒロの代になってからは初めてで、みんな吃驚して最初は嘘だと思ったらしい。
そしたらケンチに超怒鳴られたとか…
『でもケンチは優しいよ』
「そうっすか?俺泣きそうになりましたもん…」
『あはは!…直人は?』
「あー直人さんには言うなって言われてまして…」
苦笑い気味にリーダー君がそう言った。
あたしは専ら意味が分からなくて、キョトンとした顔で次の言葉を待った。
「言っていいのかな?」って顔であたしを見ているようにも思えて。