■ 捜索4


【side ゆきみ】



わたしが動いたら足手まといになるって

余計に直人の負担になるんだって頭では分かってる。

だから喧嘩の時に、絶対女は連れて行かないってルールが徹底されたんだって。

分かってるけど、直人一人で勝てる人数じゃなくて。

わたしが足掻いた所で何も出来やしないのに…

バイクから降りたわたしは、哲也の上着を着たままバイクを蹴り倒した。

ガチャンだか、バタンだか、すごい音がして直人共々みんなの視線を独占する。


『直人に手出すなぁぁぁっ!!』


哲也の上着をバサッと脱ぎ捨てた。


『ヤリたかったらヤレばいいっ!』


そう言ったんだ、わたし。

哲也以外となんか絶対に出来ないくせに。

でもね…―――

わたしだってチームoneの一員だって。

わたしだって直人を守るんだって。

























「させねぇぞ」


脱ぎ捨てた上着をわたしの肩にかけたのは、紛れも無く哲也だった。



たった一週間と三日。

たったの一週間と三日。

どんなに逢いたかったか。


目の前は涙の洪水で見えなくて…

わたしの命懸けの覚悟は、哲也がしっかり受け止めてくれた。

倒れたバイクを起こしてくれたのはケンチで。

哲也のすぐ後ろ、金のオーラを放出してるタカヒロがいた。


「奈々どこだ」


タカヒロの一声に「こちらです」って道が空いて…

あれ?

何か、戦闘態勢じゃなくない?


「ゆきみちゃん行こ」


拍子抜けしているわたしの腕を掴んで、ケンチがタカヒロ達の後を追う。


『えっ、ケンチッ?なに?どして?』


訳の分からないわたしは、ケンチに引っ張られながらそう聞くと、振り返ってちょっと笑った。



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