■ 離れ離れ6
翌日。
先輩と二人で繁華街に行った。
『本当にやるの?』
『はい』
『あたしは勧めらんないけど…あんたの彼氏、絶対怒ると思うよ』
『それでも…』
カランと陰気臭いドアを開けると、薄暗い部屋に人相の悪いお兄さんが数人たっていた。
『おー!リカ久しぶりじゃん』
先輩に向かってそう言う人達。
後ろにいたわたしに視線を向けると、ジロッと笑わない目で見られた。
「誰そいつ」って目が全員言っていて…
『この子ゆきみ。あたしの連れの女で、今訳あって預かってんの』
先輩の言葉に興味なさ気にわたしに視線を移す。
「で、何か用?」
『あー…これ…この子も入れたいんだって。』
先輩が右腕を見せてそう言うと、途端に表情を変える人達。
今度は興味津々にわたしを見て…
「へぇ、見かけに寄らず、根性あるね〜」
なんて笑った。
根性とかそんなもんどうでもよくて、わたしはただ哲也が好きなだけ。
こんなことしてもしも哲也にバレたりしたら、わたしはもう哲也の幼馴染の位置にさえ戻れないんじゃないかとさえ思う。
ここまでするのは、ある意味ストーカー的表現って世間はいうかもしれないわけで。
それも、何もかもを分かった上でわたしは哲也しか好きになれなくて。
悲しくも哲也ばかりが頭に浮かんで。
自分から逃げてきたくせに、毎日哲也の所に帰りたくなって、眠れなくて…
ただ、哲也に逢いたくて…
謝ってすむ問題じゃないと分かっていても、今のわたしにはこの哲也への想いをこうすることでしか表せない気がして。
自分の身体痛めつける愛なんて違うって分かっていても、止められないんだ。
哲也、ごめんね。
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それから三日後。
一真が漏らした言葉は、わたしにとって嬉しくも悲しい言葉だった。