■ 離れ離れ3


「ノリさん、今日はみんな出払ってます。自分ゆきみさんの用事が終わったらノリさんの側にいます」



下の奴らがこうやって敬意を払って上の人にものを言う時は、常に命懸け。

上の人にどんだけ従っているか、直人はどこまでも忠実だった。

どこまでも真っ直ぐで、こんなにピュアな心の持ち主なんていないんじゃないかとさえ思うんだ。


『ノリ、またね』


バイクに跨がる直人に後ろから抱き着くと、直人がエンジンをかけた。

暴走用の改造された直人のバイクは、エンジンをかけると物凄い音を放出させて、青倉庫にいた全員がわたし達に視線を向けた。


『直人あんたなんでそのバイク?ゆきみを何処に連れてくの?』


ノリはわたしを心配してくれたのかな?

それはそれで嬉しいことで。

エンジンを吹かした直人は、わたしの腕を更に強く自分に巻き付けるとノリを置いて青倉庫を出た。


ごめんね。

こうやって置いて行かれる人の気持ちを又、ノリにあじあわせて。

きっとこれがわたしの最後の暴走になる。

メットの下は涙で滲んでいた…



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