■ 離れ離れ2


【side ゆきみ】



『ちょっと何?何でみんないないの?』


哲也達が奈々を探しに行ってからしばらくすると、タカヒロ専用の車に乗ったノリが青倉庫にやって来た。

わたしはまだ直人から離れられなくて、VIPに誰もいないのを確認したノリがわたしの所に来てそう言った。


『ノリ…』

『え?』


わたしは立ち上がって直人のバイクに手をかけた。

同時に直人も立ち上がって、泣きそうな目でわたしにメットを渡してくれて。


『哲也を、お願いね』

『ゆきみ?何言ってんの?タカヒロ達はどうしたの?』


一定の距離を保っていたノリの足が、一歩わたしに近づいて。

困惑の瞳をわたしに飛ばしている。


『ずっとノリが羨ましかったよ』

『……』

『ずっとノリに、なりたかった』


そう言うと直人がわたしの手を引っ張って抱き上げるとバイクの後ろに乗せてくれた。

直人の顔は怒っているわけでも泣いているわけでもなく、「もういいよ」そう言ってるみたい。

もう、何も言うな…

そう言っているんだって。



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