■ 過去の過ち1
【side ゆきみ】
わたしの人生哲也まで始まって哲也で終わりたい…
哲也がいればもう、何もいらない
いつからだろうか、その気持ちが大きくなったのは。
まだ素直だった小学校を卒業して中学生になったわたし達は、周りの環境に人生を委ねようとしていた。
不良と呼ばれる人種とそうでない人種が別れるのにさほど時間はかからなかった。
外見がカッコイイから…
女の子にモテたいから…
そんな理由で中1の一学期が終わる日、哲也は髪を赤く染めた。
そのまま終業式に出たら先生にめちゃくちゃ怒られてたけど、ケロッとした顔で職員室から戻ってきた。
その頃から先輩に顔のきくタカヒロとつるむようになって、気づいた時には暴走族oneに入ってしまっていて、元々負けず嫌いだった哲也は中学三年間喧嘩ばかりしていた。
父親に着いて行った一真は頻繁にわたしに連絡をくれたけど、それもあの日、わたしがあの言葉を言った日から…連絡は途切れてしまったんだ。
哲也の家はおばさんが夜働いていて、そんなおばさんもいつしか家を空けるようになっていた。
哲也はきっと寂しいに違いない…
そう思ってわたしは絶対に哲也から離れないようにした。
母性本能と言えばそうなのかもしれない。
それでも哲也を好きだと思う気持ちは変わらない。
永遠を信じていないわたしのくせに哲也への想いを募らせたんだ。
少しずつ男っぽくなっていく哲也に苛立ちすら感じるわたしは、嫉妬という負の気持ちに悩まされていた。
それでも哲也はoneにいるってことから、中2の夏頃からクラスや学校のみんなから疎遠されるようになり、側にいるのはわたしを含めたタカヒロとノリぐらいだった。
とはいえ綺麗な外見の為、ひそかに哲也を盗み見している子は沢山いて、わたしはやっぱりそれが嫌だった。
加えて感じるのは、哲也が飛ばすノリへの視線。
それは好意をもった熱い、切ない視線でしかなかった。
堪え難い事実は、わたしにも影響を及ぼしていく…