■ 壊れたハートと悲しい恋の始まり5


「奈々が聞きたくねぇことだ。おい、いいぞ」


そう言うとドアから数人超ド不良って感じの男子が入ってきた。

怖いけど…

見かけやばくない…?

ま、眉毛がない…


「奈々、こいつらどうしてほしい?」


あたしの肩を掴んで真剣にそう聞くタカヒロの瞳はちょっとだけ怖い。

あたしの家にいるタカヒロじゃなくて、チームoneの総長って顔で。


『どうして…って?』

「お前が望む事なんでもいいぞ」

『望むこと?』


いざ、そんな風に聞かれた所であたしには何も浮かばなくって…

こーゆうの、ゆきみなら何て答えるんだろ?


「ないのか?」

『ゆきみのこと悪く言ったのが許せない!でももう関わりたくない。タカヒロに…こんなことさせてごめん…』

「分かった」


そう言うとタカヒロは立ち上がってあたしの腕を掴んだ。

そしてド不良の一人を呼ぶと、何やら耳打ちするなりあたしの手を引いてこの部屋を出て行く。


『タカヒロ?』

「ん?」

『どうするの?』

「警告するだけだ」

『そっか。ごめんね…あたしが―――ゆきみっ!?ゆきみはっ?!』


言葉にしながらゆきみのことを思い出して、あたしは長い廊下で慌てふためく。


「ゆきみちゃんは哲也が行ってるから大丈夫だ」

『そうだよね、哲也くんがいるから大丈夫だよね…』

「奈々、無事でよかった」


グイッてタカヒロの腕が伸びてきて、そのままあたしを腕の中にすっぽりおさめた。

その腕が熱くて気持ちが高ぶる。


『タカヒロ、どうして?どうして来たの?』

「聞きたいんじゃねぇか」


そう笑ったタカヒロは、一瞬腕を緩めてあたしに視線を向ける。

何も言わずにただタカヒロを見つめるあたしに言った。


「言ったろ、ほっとけねぇって」


そうして又、あたしを抱きしめた。

タカヒロの温もりに、想いが込み上げてくる

分かってた。

こうなるって、分かっていた。

本当はずっと感じてた…

でもそれは許されなくて…

どうしよう、あたし…

タカヒロが好き…




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