■ 叶わぬ想い7
それはお昼休み。
ゆきみはあの日以降、あたしと一緒にお昼を食べるようになった。
お弁当のあたしは、哲也くんとパンを買いに行くゆきみを一人で待っていて。
戻って来たゆきみと二人でお昼を食べ終わったあたし達は、日課になりつつある食後のジュースを買いに自販機へ行った。
携帯メールを見ていたゆきみがバツの悪そうな顔で溜息をつく。
『どうかした?』
『あー…うん…』
『哲也くん?いいよ行ってきなよ』
『ごめんね…』
何度も謝るゆきみに笑いながら手を振って見送ったあたしは、ピッと一人アップルジュースのボタンを押した。
ガコンっと落ちたジュースを取り出して一人裏庭を歩いていた。
何でここに来たのかは自分でも分からない程で、あたしはボーッと大きな木を見上げていた。
思い浮かべるのはタカヒロの事で。
だから気づかなかったんだと思う。
きっとずっとチャンスを狙っていたんだと思う。
あたしがゆきみと離れるチャンスを。
気づいた時には沢山の女子達に囲まれていて、身動きのとれないような状況で。
一人に後ろから羽交い締めにされたと思ったらパーンと平手打ちが飛び交った。
何が起きたのかすぐに理解できて。
叩かれた左の頬がジンジンするのに、二度目の平手打ちが飛んできた。
まるでそれはストレス発散をするかのようで、そんな腹いせまがいの平手打ちをあたしは受けるしかなかった。